王子な秘書とシンデレラな御曹司
重役会議から戻った副社長は
30分後に重役たちと北海道へと出張予定。
「『じゃがぽっくる』買ってきますからね」
トランクケースをゴロゴロさせてニコニコ笑顔の副社長。
今回は俺様弟が一緒じゃないから嬉しいのか?
「それより常務からメールが届いてます。目を通してもらえますか?」
「えーっ?」
なんだよその女子高生みたいな返事は。
「見て下さい」
私の強い口調に負け
副社長は常務からの長いメールを10秒で斜め読み。
「はい読みました」
早っ!そしてなんだ?そのアッサリとした返事。
「頑張りましょう。このお見合いを成功させれば私達の勝利です」
興奮気味に私が言うけど
「雅さん」
「はい」
「この僕が、他の御曹司の皆さんと闘って勝つと思います?」
冷静な言葉に返り討ち。
痛いとこ突かれてしまった。
「どう見ても無理でしょう。弟の敏明に勝つ自信もありません」
「外見はイケるようになりました。イケメンです」
ほめて育てよう。
でも副社長は私の企みに乗ってこなかった。
「僕は女の子と上手く付き合う自信がないんですよ。おしゃれな話もできないし、映画も本も旅行もマニアックだし」
「今まで彼女とかは?」
「研究所に寝泊まりしてるうち、知らないうちに着信拒否されるパターンが多いです」
遠い目をして副社長が語る。
やっぱり残念な男。