王子な秘書とシンデレラな御曹司
「そんな感じで……」
コロコロトランクを引きずり
逃げようとする副社長のスーツを引っ張る私。
「雅さん」
「勝ちましょう副社長。副社長はやればデキます」
「勝っていいんですか?」
強い口調で副社長は私に言い、怒ったように見下ろした。
その真剣な目を見て
私もきっぱり返事をしよう
「勝ちましょう」
もう私の気持ちは決まってる。
副社長が立派な後継者になってくれたら
それで満足だ。
恋愛禁止!……どっかのアイドルグループのよう。
「わかりました。努力はしましょう」
売り言葉に買い言葉
副社長は乱暴に言い切り部屋を出る。
後味の悪い余韻が
波乱の予感を招いてた。