落ちてきた天使
借りた服は案の定大きかった。


黒いTシャツは膝上のワンピースになり、半袖が七分袖になってしまっている。


ハーフパンツはガパガパ。
ウエストを締める紐がなくズレ落ちてしまうので履くのをやめた。



そーっとリビングのドアを開いて顔だけ覗かせる。


あ…いい匂い。


途端に香ばしい香りが鼻を掠め、お腹が微かにぐうっと鳴った。


そういえば朝から何も食べてない。
お腹はもうペコペコだ。



それはそうと、松永皐月の姿はここから見える所にはない。


カチャカチャと音は聞こえるから、多分キッチンにいるんだと思う。



一旦顔を引っ込めて自分の姿を見る。


Tシャツだけで大丈夫かな。
一応膝丈だけど、もう少し小さめのズボンを借りた方がいい気がする。


さすがに生足を出したまま過ごすのはちょっと……って、さっき下着姿を見られたばかりだけど。



「いつまでそこにいるつもり?」



思案しているといつの間にかすぐ側まで来ていた男は、そう言って反対からドアノブを軽く引いた。



「あっ!待って…っ」と慌てるも虚しく。
ドアは完全に開かれて、あられもない姿を見せる羽目になってしまった。



「っ、お前……」



松永皐月は一瞬顔を顰めてポツリ言うと、視線を不自然にふいっと逸らしてリビングから出て行った。


そして、脱衣所の向かい側の部屋に入ると、すぐに何かを持って出てきた。




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