だって、キミが好きだから。

幸せ〜琉衣斗side〜



脳腫瘍……っ。


その言葉を聞いた時は頭に衝撃が走ったけど、目の前で不安気に泣く菜花を見てたらビックリもしていられなかった。



小さくて華奢な体を思いっきり抱き締めて、本音を次々と口から漏らす。



好きだ、菜花。


マジでさ、今の俺にはお前さえいればそれでいい。


好きなんだって。


記憶が失くなる?


ふざけんな。



忘れさせてたまるかよ。


大切な記憶は心がちゃんと覚えてるんだ。


簡単に忘れるわけねーだろ。



たとえ忘れたとしても、俺が絶対に思い出させてやる。


せっかく好きだって言ってくれたのに、なかったことになんかさせるかよ。



今にも折れてしまいそうなほど小さくて細い菜花の耳元に唇を寄せる。



「俺と付き合ってくれる?」



ほのかに香ったシャンプーの匂いに、何とも言えない気持ちが込み上げて来た。



震える小さな体が愛しくて可愛くて、たまらずにギュッと力を込めて抱き締める。


誰かをこんなに愛しいと思ったのも、自分からこうやって抱き締めたのも初めての経験だ。



やべえ。


マジでやべー。


可愛すぎるだろ。



ドキドキと胸が高鳴る自分が自分じゃないみたいでキモい。


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