だって、キミが好きだから。
朝、目が覚めたら知らない場所にいた。
カーテンで仕切られた小さな空間に恐怖が込み上げて、慌てて飛び起きる。
右側にある窓の方からは、蝉の鳴き声がうるさく響いていた。
日差しもキツくて、カーテンの隙間から見える太陽の光に目がやられそう。
「こ、ここは……?」
あたし、なんでこんなところにいるの?
わけがわからないよ。
いったい、ここはどこなの?
「目が覚めた?良く寝てたわね」
「あ、お、お母さん?」
目の前に現れたのは、昨日もここに来ていた女の人。
どうやらあたしのお母さんらしいけど、何も覚えていないからわからない。
だけど、ただなんとなく一緒にいてくれると安心する。
「体調はどう?」
「まぁまぁ……です」
「……そう、良かったわ」
ムリに明るく振る舞おうとしているみたいだけど、泣いたのかお母さんの目は真っ赤だった。
よく見るとやつれていて、目の下にクマが出来ている。
髪の毛もボサボサで、急いで来たんだろうなってことがわかった。