だって、キミが好きだから。


朝、目が覚めたら知らない場所にいた。



カーテンで仕切られた小さな空間に恐怖が込み上げて、慌てて飛び起きる。


右側にある窓の方からは、蝉の鳴き声がうるさく響いていた。


日差しもキツくて、カーテンの隙間から見える太陽の光に目がやられそう。



「こ、ここは……?」



あたし、なんでこんなところにいるの?


わけがわからないよ。


いったい、ここはどこなの?



「目が覚めた?良く寝てたわね」



「あ、お、お母さん?」



目の前に現れたのは、昨日もここに来ていた女の人。


どうやらあたしのお母さんらしいけど、何も覚えていないからわからない。


だけど、ただなんとなく一緒にいてくれると安心する。



「体調はどう?」



「まぁまぁ……です」



「……そう、良かったわ」



ムリに明るく振る舞おうとしているみたいだけど、泣いたのかお母さんの目は真っ赤だった。


よく見るとやつれていて、目の下にクマが出来ている。


髪の毛もボサボサで、急いで来たんだろうなってことがわかった。


< 318 / 343 >

この作品をシェア

pagetop