初恋の行く末
山中と淡い時間を過ごした後、友美が待つ自宅に帰ったら、ダイニングの椅子に座って俺を待っていた。
「今日は仕事でいい事あった?」
と声を掛けたら
「実はね直人に伝えたい事があって待っていたの」
と穏やかに微笑んだ。
久しぶりに見る表情だった。
最近友美と話をする機会が減っていたし彼女に結婚の延期を伝えてから以前と比べて表面的な付き合いになっていると感じていた。
すべては俺のしている行動のせいだけど…
山中の事は好きだけど友美に感じる愛情もやっぱり変わらない。
友美が穏やかに育んでいきたい思いで山中とは激しく求めあいたい。
この感情の違いについてはまだ理解出来ていないが友美と以前みたいな付き合いに戻れたらとも思っていた。
だから久しぶりに友美のこんな笑顔が見れて嬉しい。
「伝えたい事って何?」
友美に聞いたら
「実はね。いつ言おうかと思っていたんだけど妊娠が分かって今2カ月目に入ったところなの。今日も病院に行ってきたら順調だって」
そう言いながら愛おしそうにお腹に手を当てた。
「え!!」
俺に子供。
予想だにしていなかった。
「驚いたでしょ。でもう1つあってね。式と披露宴取り止めてきた。直人と独立の話をしてて結婚後って決めたけど最近の直人見てたら今独立したいんじゃないかと思って」
独立そりゃしたいけど…
お金も掛かるし…
「そう見える?」
友美に聞いたら
「見えた。子供が出来て嬉しかったと同時に直人が独立するタイミング今じゃないかと思って。」
表面的になったと思ってたけど友美はちゃんと俺の事見てくれていたんだな。
その気持ちが嬉しかった。
「式と披露宴取り止めたらその分お金浮くでしょ。それでも足りない分あったらこれ使って」
そう言って友美は自分の預金通帳を差し出した。
「でもこれ友美がお店開く時に貯めてた物だろう?」
友美がここまで俺の事を考えてくれているなんて思ってもみなかった。
「2人でいつか夢が叶えたらと貯めてた物だよ。直人がお店構えたら、空いてるスペースに私が仕事出来る場所作ったら素敵じゃない?」
そう笑って俺に通帳を渡した。
「友美。本当にいいの?披露宴したかったんじゃないの?」
あんなにこだわっていた披露宴を取り止めてまで俺の為に…
「いいの。それより家族も増えるし2人の夢も今叶えよう」
そう言ってくれた友美の愛情の深さに感動した。
「友美今までごめん」
友美を抱き締め共に泣いた。
そして友美に
「明日にでも籍を入れよう。今まで待たせてごめん」
と言って謝った。