好きとか。
もうここにいたくないし、
帰ろうかな。
なんならこいつも連れて。
『俺ら、もう帰ろーぜ。』
俺は八木 美月を引っ張って
個室から抜け出した。
2人で夕日に包まれた道を歩く。
そしたらふいに八木 美月が
俺を見上げたから
俺もずっと気になってた事を
聞こうと見下ろした。
『美月、だったよな?名前』
いや、美月って名前はちゃんと覚えてる。
俺が気になってた事はこいつを
なんて呼べばいいか。
未だに名前で呼んだことないから
どうせなら美月って呼びたい。
『………。』
え。
八木 美月はびっくりした顔で
俺をガン見してる。
でもそのあとうんうんと頷いた。
…なんか言ってよ。
『や、別に忘れてたわけじゃねーけど、
周り、お前のことやぎって呼ぶじゃん?
だから美月って名前で合ってるか
不安になって、、』
かっこわり、俺。
なんでこんなに喋ってんの。
でも八木 美月は嬉しそうに
顔を輝かした。
『ありがと、爽くん。名前覚えててくれて。
美月って呼んでくれるの、爽くんしか
いないよ。』
…まだ呼んでないけど
美月って呼んでいいって事だよな。
やった
『美月、家この辺?』
俺は建ち並ぶ家を見ながら呟いた。
送りたい。
『あ、ううん!電車で二駅行ったとこ。』
美月は方角を指さして
俺に伝えてくる。
ふーん、あの辺か。
……え、あそこって。
『じゃあ、優馬知ってんの?』