好きだと言ってほしいから
「こんな奴ってひでえな、松崎。俺はこれでも案外モテるんだぞ」

「知ってるわよ。んで、想像と違ったって言われて振られるのよね」

「おまっ……! ホント可愛くねーな。もういいよ、俺は麻衣に癒されるから」

「バカね、逆よ。何のために平岡くんを呼んだと思ってんの。あんたが麻衣を癒すのよ」

「お、俺?」

「できないの?」

 ギロリと葵ちゃんが平岡くんを睨みつける。冗談だと分かっているけれど、平岡くんもたじたじだ。

「あ、葵ちゃん、私はみんながいてくれるだけで、嬉しいし、幸せだよ」

「麻衣……」

 それは本当だった。私には、こうして泣きたいときに思い切り泣かせてくれる友がいる。声をかけるだけで駆けつけてくれる友がいる。みんな私のかけがえのない大切な人たちで、私はこの人たちをずっと大切にしたい。

 まだ涙は零れるけど、私は少し前向きになった。悲しいのは仕方がない。だって、逢坂さんは、好きで好きでたまらなかった、たった一人の人だったから。

「二人ともありがとう」

 目蓋が腫れたひどい顔で笑ってお礼を言うと、二人は顔を見合わせてから眉尻を下げたまま微笑んだ。
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