好きだと言ってほしいから
 彼が本格的に体を起こして私の上に身を乗り出す。ベッドが軋んで素肌に直接かけていた布団が持ち上がると、私の体が顕わになった。

「麻衣……」

 浩太さんがゆっくりと私の前髪を掻き揚げる。額に一つ、キスを落とすと、続いて目蓋、頬、唇の端へと、彼はそっと唇を滑らせた。そうしてもう一度私と目を合わせてから、最後に長いキスをした。

「言葉じゃとても伝えられないと思ってた……」

 目を閉じた浩太さんが額を合わせて囁く。

「だけどこれからは飽きるぐらい言うよ。君が好きだ、愛してる。こんなに君に溺れてしまった俺の幸せは、いつも君の中にある……」

「私も……同じです。ずっとずっと、浩太さんだけを見てきました。浩太さんが傍にいてくれるだけで私は幸せです。だから、私の幸せも、あなたの中にあるんです……」

 浩太さんが目を開けて微笑んだ。私も微笑み返す。
 初夏の更ける夜。私たちの甘くて長い人生は、まだ始まったばかり――。
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