Tell me !!〜課長と始める恋する時間
「なんだよ、それ。桃原さんそれで黙って帰って来たの?」


大体の事を話したら乾くんが呆れて言った。


「黙ってって仕方ないじゃない。何を言えば良いのか分かんないし。それに私が何か言ったところで課長の気持ちは変わらないよ。」


乾くんは、はぁ…と一つ大きな溜め息を吐くと


「課長の気がしれない。俺、結構、課長の事、尊敬してたんですけど仕事に対するモチベーションとか。だけど男としては軽蔑する。惚れた女を悲しませるなんて最低じゃないですか。」


「違うのよ。課長にも課長なりの事情があって。」


課長に婚約者がいたことは話したけれど、愛人の子だってことまでは話していない。


課長の生い立ちを勝手に話すのはよくないって思ったから。


「ねぇ…桃原さん。」


「ん?」


「前にも言ったけど、俺にしなよ。」


「えっ?」


乾くんが体ごと私の方へ向き、私の両肩に手を添える。


「俺、思うんだけど恋愛ってさ一番好きな人より二番目に好きな人との方が上手くいくんじゃないかなって。」


「な、なに言ってるのよ。ちょっと…」


「だから、俺を桃原さんの二番目にしてよ…」


そう言いながら乾くんが顔を寄せてくる。段々と私達の距離が縮まる。そして瞼を軽く閉じた乾くんの唇が触れようとした時ーーー


「駄目だって。」


何とか手で乾くんの体を押し戻した。


「なんで?俺、言ったよね?桃原さんのこと狙ってたって。」


乾くんが真面目な顔して言うから私も目を逸らすことなく真面目に返す。


「それはやっぱり乾くんにとって私が二番目だから?」








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