Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「それを聞いて思いました。こんな気持ちを抱えたまま一緒になってもいいものかと。万が一、子供が出来たとしてもその子にまた僕と同じ思いをさせなければいけないのではないかと。そんな事を悶々と悩み考えていて仕事に集中出来ないでいた。それに加え君が乾くんと親しげに話しているのを見ていると平静でいることが難しかった。こんな事は初めてです。僕のこれまでのデータにないイレギュラーな事態に自分を保てないでいた。それによりミスを招いてしまった。全く恥ずかしい限りです。」


いつだって冷静沈着な課長が?


自分を保てない?


「それ、本当ですか?」


とてもじゃないけど信じられない。


「本当です。誰よりも僕自身が驚いてる。今だってこんな弱ってる姿の君に欲情するなんて…」


そう言いながら課長は眼鏡をスッと外す。


ゆっくりと課長の顔が近づいてきて…


そう、それは課長の合図。


課長が眼鏡を外したらそれはキスの始まり。


受け入れてもいいんだよね?


唇に乗せられた課長の思いを受けてもいいんだよね?


その合図に従いそっと瞼を閉じる私…






「入るわよ。」


といきなりノックもなしに入ってきたのはーーー


「そんな事するくらい元気ならとっとと帰るよ。」


「雉原さん…」


そして、


「点滴が終わりそうだってナースに伝えにいったらメアド教えてくれって捕まっちゃって…」


「乾くん…」


「どうせなら気を利かせて終わってから入室するべきだろ?」


舌打ちとともに課長が冷ややかに言う。


いや、それもおかしいよね?


この中でまともなの私だけ?


私だけだよね?



















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