Tell me !!〜課長と始める恋する時間
「えっと……映画とかぁ?」


「映画とか?」


課長ときたら相変わらず涼し気な顔して聞いてくる。これ、絶対わざとだよね。前々から気付いてたけど課長って根っからのS体質だよね。分かっててわざと私を困らせてこの状況を楽しんでる。


んもぉ、だけど私だってへこたれないんだから。


「映画とか行きませんか?」


「結構です。」


即答、撃沈……


「な、なんで?普通、初めてのデートとかって大抵映画とかじゃないんですか?」


「桃原さん、あなたって人は……。」


課長が目を閉じ天を仰ぐ。
 

もしかして、私の熱意が伝わって感動してるとか?ちょっと心がグラついた?


な訳ないよね。 


直ぐに私に向けられた冷たい視線で言われなくても理解する。


「何かまずいこと言いました?」


「桃原さん、私と君はこの会社のマーケティング部に属していて多少なりとも自社に数字という目にハッキリ見える形で貢献しています。」


「はい…」


なんか、面倒な話になってきたぞ。


「そんな部に所属して君は今年で何年目です?」


えっと入社して2年目にマーケティング部に来たから……


「マーケティング部に来て3年目?になります。」


「石の上にも三年。よく頑張っていると僕も桃原さんの事は評価しているつもりです。」


「課長…」


仕事には容赦ない課長が私の事を褒めてくれてる?ああ、日頃の苦労が報われるぅ。


「しかしながら、」 
 

「ヒィッ」
 

ビシッと会議室の机を叩かれ思わず背筋が伸びる。


「しかしながら、君の口から出てくるボキャブラリーは何ですか?二言目には普通は、普通はと。おまけに大抵と言った曖昧な物言いを平気でする。君の言う大抵と言うのは割合で言うとどう捉えているんです?五割超えるのか?それとも七割、八割、九割?そもそも映画とかのとかって何なんです?僕はそう言う曖昧な言葉が許せないのですっ。」


あ、アカン……


もう、デートいいっす。


なんなら3ヶ月後と言わず、私のような虫けらはもうこの場でひと思いにバッサリ斬り捨てておくれやす。


この週末は大人しく引きこもって母上と愛の稲妻の録画を第一話から見ると致しますから。












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