Tell me !!〜課長と始める恋する時間
駄目だ……


もう立ち直れない。


顔を上げる気力すらおきないよ。


会議机にガクッと頭を項垂れていると


「とは言え、僕も少しは今回の事、前向きに捉えています。桃原さんが言う映画とか?是非、行きましょう。」


「ん?」


思わぬ言葉に急いで顔を上げる。


「ぶっ。な、なんですか?その顔は。」


えっ……


課長が笑った。


さっきのフッて軽くじゃなくて


今度はぶって吹き出して笑った。


やだ……


課長の笑顔見て嬉しいはずなのに、


どうしよう……課長の笑顔見て感動してる。


泣きそうだよ、私。


「桃原さん?」


「課長、私の顔、変ですか?」


ちょっぴり涙声になるも課長に笑顔で聞き返す。


「そうですね、変かそうでないかといえば…間違いなくーーー変、クックックッ」


ほら、と言って私の前髪を軽く掻き上げる課長の手がヒンヤリしていて照れて赤くなっている顔には丁度、心地良い。


「僕に説教されて項垂れているから、オデコと鼻の頭が真っ赤だ。」


「嘘っ。」


課長が優しく親指で私のオデコをなぞってくれる。


いくら誰も来ることのない会議室だって言っててもドアが急にバンっと開くんじゃないかってドキドキしちゃう。


すると、さっまで笑っていたのに急に真顔になる課長。


「少しですが、今、僕は間違いなく桃原さんに興味を持っています。」


「えっ…」


さっきまでオデコにあった課長の手が頬に添えられてーーー


眼鏡の奥に見えるその目は今は優しく弧を描いている。


「へっ?」


頬に添えられていた手で思い切りホッペをむぎゅっと引っ張られた。


「な、何するんですかっ。」


「すいません。桃原さんの頬が大福餅の皮の様に柔らかかったもので、どれほど伸びるのかとつい。」


シレッと言いのける課長。


大福餅って………それで興味持ったって?


「んもぉっ。どうせ、私のホッペはぷにぷにしてますっ。ほら、もう休憩時間終わりますよ。私、先に行ってます。」


なんだか一人ドキドキしてたのが恥ずかしくなった私は急いで会議室を後にした。


結局、ドキドキするのは私ばっかり。まだまだ課長は私の事なんて何とも思ってないんだろうな。


だけど、


課長のあの笑顔見れたんだし、まっ、いいか。それよりもデートの約束出来たし。


うぅ、楽しみっ。





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