生徒だけど寮母やります!2






偶然なことに

その日の昼休み

景には月沼と会話をする機会がやってきた


「あれ、もしかして笠上さんも採点ミス?」

「あ、月沼くん.....そうだけど、もしかして月沼くんも?」


自分と月沼の手には、半分におられた大きめのプリント

先ほどの地学の授業で返却されたテストの採点にミスがあり、景は地学担当の教師を訪れて職員室前に来たところだった


「そうそう、地学の授業終わってから気づいてさー」

「私も。それで先生の机を見てみたんだけど今はいないみたいで、どうしようかと思ってたんだよね」

「えっ、先生いないのか。んー.....地理地学教室にいるのかも」

「なるほど」

「行ってみる?」

「.....うん、行ってみよう」


景は月沼と地学教師を探して地理地学教室へと向う


行った先の教室で地学教師を見つけた二人は、無事に採点ミスを直してもらうことが出来た



「よかったね、先生いて。笠上さんは学科授業受けないから、これで帰るのかな?」

「あ、うん。私はこれで.....」


控えめな笑顔で頷いた景に、月沼は首をかしげる

そして、思い出すように口を開いた


「そういえば.....笠上さんは人狼.....ワーウルフだったよね?実は僕も狼男でさ。笠上さんも学科授業受けてたら、同じクラスだったのにね」


景はその言葉にハッとすると

「そ、そうだね」

としどろもどろに頷いた


頑張って笑顔を作ったつもりだったが、上手く笑えなかったかもしれない


突然他人の口から出る「ワーウルフ」の単語に、ドキリと心臓が跳ね上がったのだ


月沼くん、変に思ったかな.....


しかし、どう思われたのかは分からないが月沼は優しい男だった
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