生徒だけど寮母やります!2

休みます!







「ねぇ、ライ。重くない?」


「別に」


エレベーターのドアがウィーンと開き

ライは中に足を踏み入れながら、腕の中にいる景に目を向けることなく即答する


おんぶではなくて、俗に言うお姫さま抱っこ


いくら足を怪我してるとはいえ、景は彼ににここまでさせてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいだった


「降ろしていいよ、ライ。私ゆっくりなら普通に歩けるし。怪我したのだって片足だけだから」


超至近距離にまともに顔も見れず、若干顔をそらしながらそう言うと


「へー?」


彼は「あ、そう?」とでも言いたげな顔で景を見て、ゆっくりと彼女を降ろす



そしてそのままエレベーター内右側のボタンの前まで行くと、「1」の文字を押した


ガコンッ


箱が下がり始めるとともに体を景の方へと向け、その衝撃で一瞬バランスを崩す彼女にニヤリと笑みを向ける


「危ないな?」


「ひ、ひどい!」


「降ろしていいって言ったの誰だっけ?」


完全に遊ばれている.....


景は悔しそうな顔をして、キッとライを睨む


そして根負けしたように


「〜.....っつ、掴まりはさせて!」

とお願いして、足を一歩踏み出した


その瞬間、怪我した部分にピリッと痛みが走る


「うっ」


転びはしなかったが、一瞬バランスを崩し

そこを、ライが咄嗟に捕まえた


目の前に


どこかムカつくけれど

涼しい顔をしたライの顔


「ごめ.....」


「掴まりたいって、どうすんの?」


「え?」


「手?」


そういった彼は、景の手をとってしっかりと握った


掴まりたいって.....

確かにそれってこういうことになっちゃうのかも.....


ガコン.....ウィーン.....


「ねぇ」

景が何か言う前に


ライはその手をクッと引っ張ると


「開いたから。行くぞ」


と景をエレベーターの外に連れ出した


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