生徒だけど寮母やります!2

▲オマケ 番外編〜白兎(裏)〜





▲オマケ 「白兎(裏)」

(爽馬視点の節「白兎」の対になる2Pのショートストーリーです。
読まなくても小説を読み進めることが出来ます)

登場人物 アカギ ハナ エマ


*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・





爽馬が高校を退学する少し前の

妖術結社にて




「うーー寒い」


アカギが自身を抱えるように摩りながら妖術結社のホールへ行くと、小高エマとハナが2人でケーキを食べていた


「え、珍しい。そもそもエマが菓子食ってんのが珍しい」

「どっか行けお前」


食べているところを指差されたエマは、冷たく彼をあしらう

屈することなくアカギが「なに食べてんのー」と近づくと、ハナがケーキの箱を差し出してくれた

「来客がくれたのよ。早い者勝ちだからひとつどうぞ」

「ありがとう来客」

アカギはなんとなくエマの横は怖いのでハナの隣に腰を下ろすと、さっそくケーキを頬張った


「うまーーい!うまい!うまいこれ」

「ボキャ貧すぎてケーキが可哀想」

「うまい」を三回連呼するアカギを見てエマがボソリと呟く

小さい声だったが彼の耳に入ったのか、アカギはムッとして言い直した

「初恋の味がします」

「.....っあはは」

思わずハナが笑い出す

「.....意味わかんない」

一方で呆れて溜息をつくエマに、アカギは

「何お前、恋したことないから分かんねーんだろ?」

と、からかうように言った


「あら、恋したことないの?」

「.....え」

ハナから少し驚いたような反応をされ、エマは言葉に詰まる

「あ.....いーや、あるな、その反応は」

女の直感とでも言うべきか、ハナはエマの反応を見て嬉しそうに言った

「マジ?この冷徹女が?」

「うん。あるんでしょー、エマちゃん」

エマは自分より少し年上のハナからキラキラ輝いた目を向けられる

そしてとうとう根負けして、躊躇いながらもぎこちなく頷いた


「まーじー!誰誰誰」

「お前が知ってるわけないだろ高校にいた頃の話だよ」

アカギの食いつきっぷりにエマは若干引き気味に言う

「どんな人だったの?」

ハナからも興味津々で問われて、エマは仕方なく言った

「同じクラスの勉強も運動も得意で、生徒会に入るような向上心のある人」

「クラスのアイドルタイプじゃん。競争率ヤバそう。告った?」

アカギの言葉にエマは首を振ると

「..........向こうから」

と呟いた


「えー凄い!じゃあ両思いだったのね」

「おおお!え、それで?」

エマは大きな反応をする2人に顔をしかめる

「騒ぎすぎ。それに、それで終わり。付き合ってない。退学直前だったから、私が振った」

「振った!?」

「はぁぁああ!?アホなの?」

「アホ」と言われ愕然として口を開けるアカギを、エマはキッと睨む

「ここに来るっていうのは、そういうことなんだよ。もう逢えないし戻れない。そんな遠距離恋愛、彼が可哀想でしょう」

2人はエマの言葉になにも言えなくなる

アカギは「そうだな.....」と呟くと

「そういえばお前んとこの5番目だか6番目の弟、近々ここに入ってくんだろ?」

とエマに尋ねた

「あぁ.....7番目」

「7番目って.....名前言ってやれよ」

「.....爽馬」

アカギはもうすぐここに入ってくる男の子の名前を聞くと

「爽馬ね」

と笑って頷いた


「にしても、一年間だけ高校に通わせるってのも酷だよな。お前みたいなことだってあるだろうし、友達とだって離れなきゃなんねーじゃん」

ハナがアカギの言葉にコクコクと頷く

ケーキを食べ終えたエマは

「いいよあいつ(爽馬)は。人や学校になんて執着しない。無感情な目をしたやつだから。ごちそうさま」

そう言って部屋へ戻っていった

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