生徒だけど寮母やります!2
その翌日
伊吹グループに侵入した何者かによって盗まれたデータファイルの流出により、伊吹グループの株価が暴落したことが日本中の魔術家や妖術家に知れ渡った
しかしそれと同時に、予想外のことが起きてしまった
「作戦はうまくいったと言っていいでしょう。しかし防犯カメラに映った僕たちの顔が伊吹グループのホームページにのってしまいました」
翌日の密会にて開口一番、小高家長男、由馬が父親にいう
しかし彼と対峙して座る父親はそれを聞いても顔色を変えない
対照的に、その横に座っていた、初めて密会に参加する月沼夫妻が驚いたように目を開いた
周りに座る「狐」たちも、不安そうな顔をしている
「いいんですか、これで僕たちが妖術家に所属する狐だとバレたら、これが妖術結社のしたことだとバレてしまう。どうするんですか!?」
切羽詰まってまくし立てる由馬
父親はチラリと由馬を一瞥すると
「お前、妖術結社に入ってたのか」
興味なさそうにそう言った
「.....は!?」
..........!?
爽馬は父親の言葉に目を見開く
他の兄弟やアカギたち兄弟も、顔色を変えた
「今回のことは別に1つも予想外ではない。防犯カメラ.....?これぐらい猿でも分かるだろう。だからお前たちはいつまで経っても変わらない」
父親は椅子から立ち上がると、自身の背後に置いてあったホワイトボードを振り返る
そしてマジックペンのキャップを開けると
『狐学会』
この三文字を書いた
「きつね.....がっかい.....?」
アカギの呟きに、父親は頷く
「そうだ。これがお前たちが所属する組織名『狐学会』.....別名、『裏妖術結社』だ」
「裏.....妖術結社.....」
「なんだよ.....それ.....」
全員が顔色を変え、呆然と呟く
そして最後に、由馬がゴクリと唾を飲んで恐る恐る尋ねた
「じゃあ俺ら.....妖術結社には.....」
「入っていない。お前たちは私が、1ヶ月ほど前に妖術結社から籍を抜いて、狐学会に配属させている」
父親のその言葉に、しばらく全員言葉を失ったままだった
つまりこの犯罪の犯人は『狐学会』
妖術結社は何も関与していないのだ