生徒だけど寮母やります！2

邀撃II

その日の夜


爽馬は


男子寮Bにいる夢を見た





「ただいまー」

「ただいま、景ちゃん」

「ただいまー.....疲れたぁ」

「ただいま」


寮に帰ったみんなが


口々に「ただいま」と言いながら靴を脱ぐ

「おかえりー」


ただいまの挨拶のペアである、心地の良い景の『おかえり』


よく分からないけれど、自分だけ何処かに消えてしまうのが嫌で、気づいて欲しくて

咄嗟に口を開いた


「ただいま」



「咲夜お前昨日貸した古典の教科書返せよ、明日使う」

「あ〜そうだった返す返す。いやー、ライの教科書、古文に現代語訳がかいてあって使えるんだわ」

「あーライ全文、品詞分解までしてるもんね」

「真面目か」

「しねーよ」



誰も


自分の挨拶には返さなかった


多分これは過去ではなくて

現実なのだ


現実であり

夢である


「う.....ん.....」


眠りから目覚め、夢から解放された爽馬は目を閉じたまま小さく唸った



時々見る


楽しいのか

苦しいのか


よくわからない夢



そんな夢からふと目覚めた時


何か見えないものに、もうあの頃のお前とは違うんだと

そう言われているような感覚に襲われる



爽馬がゆっくり目を開くと、目の前には自分を覗き込む女性の姿があった