生徒だけど寮母やります!2


そんな空気の中、口を開いたのは意外にも柊だった


「そういえば景ちゃん、水穂先生が心配してたよ」


「えっ、先生が!?」


.....なんで!?


「多分だけど、景ちゃんが怪我したことバレてると思う。景ちゃんは必死に隠してたんだと思うけど」


「ひっっ」


.....バレてる!?


心当たりが全く無くて、口元に手を当てて絶句する景


「お前.....いつどのタイミングでバレる要素があったんだ。土曜じゃん」

.....うっ.....

ため息をつくライの視線を横から感じ、景は顔をゆっくり逸らす


柊は変わらぬおっとりとした口調で


「先生、お昼頃校内歩いてて小高家から帰ってくる景ちゃんを見たんだって」

と説明した


「見られてたかー.....」

苦笑いする咲夜


続けて鈴菜が

「3時頃柊と中庭でパン食べてた時に、先生から急に声かけられて、笠上さんは一緒じゃないんですかって聞かれてん。だから、また忙しなくどっか(伊吹家)行きましたよって言ったら困ったように笑ってたで」

と説明する


景は2人の話から、そんな水穂先生の姿を想像すると、何だか申し訳ないような気持ちになった


「そっか.....先生.....」


.....顔には出さない人だけど、きっと凄く心配してくれたんだろうな


「だってあの時凄い勢いで足から血、垂らしてたしな」


「.....そうだったかも」


「そうだったよ景ちゃん」



咲夜の一言が胸に刺さり、景は心臓のあたりを押さえる


怪我をしてボロボロな自分たちを見て心配してもなお、介入せずにいてくれた先生は


きっと自分たちで解決しようともがく私たちの意思を尊重してくれたような



けれど実はずっと見守ってくれていたような、そんな気がする


< 305 / 547 >

この作品をシェア

pagetop