生徒だけど寮母やります!2

導きます!






12時30分


景含む男子寮Bの全員とマナは、寮でテーブルを囲み昼食をとっていた



「てことで斎藤ちゃん、大分心配をかけたけど俺たちは無事伊吹家から帰還しましたー!」


「..........」


昼食の冷やし中華を食べる箸を置くと、咲夜は両手でピースサインを作りマナににっこりと笑う


そんな彼を、マナは史上最高に冷たい目で見つめ返した


昨日怪我した景と共に伊吹家へ行ってから、彼らが帰ってきたのは斎藤が帰宅した後



全員がチラリとマナの反応を伺うと、彼女は無言で冷やし中華をガツガツ口へ運んで、水を一気に飲み干した



「ぷっは!あんたたちにこの言葉を送るわ。『親の心子知らず』」


「お前の子じゃねーから」


即座に手のひらを見せて制すように送られた言葉を拒絶したライは

「仕方ないだろ」

とそっぽを向く


そんなライに市河は苦笑すると

「土曜日にわざわざ心配して出勤してくれたのに、結局勤務中に戻ってあげられなくてごめんごめん」

と手を合わせてマナに謝罪した



「新入り.....あんたふざけてるでしょう」

「未だに俺の呼び方『新入り』なんだよなぁ」



それでいえばマナも『新入り』だが、細かいことを追及すると彼女が噴火しそうなので、そこは言わないでおく


「でも、今言ったようにいくつか得られた情報や.....気持ちがあって、絶対無駄じゃなかったと思うんです。行かせてくれてありがとうございます、斎藤先生」



唯一、景だけが一人真面目にマナに礼を言うと、彼女は


「まぁいいわよ、無事だったから」

と独りごち、また一口冷やし中華を口へ運んだ


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