生徒だけど寮母やります!2

景は空いている左手で結斗に小さく手を振り、踵を返して寮に戻る


しかしそのとき


パシッと景の細くて白い手首を後ろから掴まれ


思わず驚いて振り向き、自分の手首を握って離さない彼の顔を見上げた


「結斗.....」


「やっぱり、後少しだけ.....ここにいて」


真剣な瞳でそのようにお願いされては、断ることもできない


それに、いつもの彼とは少し違う


「うん.....?」


見えない相手の真意を窺うようにぎこちなく頷くと、頭一つ以上高い結斗のキャラメル色の目を見つめた


何かあった?と言いかけて、言葉を飲み込む

代わりに

「せっかくだから、特別にレモネードでも作ろうか?」

と、はにかんだ


「.....レモネード?」


「材料なくて全員分は作れないから、みんなには秘密だけど。美味しいよ」


結斗は景の手を握ったまま一瞬息を飲んで、眉根を寄せる


そして、苦しそうに微笑んだ


「レモネードより、景ちゃんが食べたいかな」


「え?」


今.....

なんて.....


思考が停止してなにがあったのか考えられるようになった頃には

景は結斗の広くて逞しい胸の中に、強く抱きしめられていた

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