生徒だけど寮母やります!2



言うなれば景の作戦は

『職権乱用』

だった


何の職権かというと、結斗の生徒会役員なる職権だ


曰く

「先代の住所がわからないなら、先代に学校に来て貰えばいいんだよ」

とのこと


その言葉を聞いた結斗は逡巡してから「なるほどね」と納得した


「さすが結斗だよ。物分りがいいよ」


景はニタリと笑って結斗に親指を立てる


景の笑顔を、それをも超える王子スマイルで受け止めた結斗は


「明後日の文化祭に客人として呼んでしまおうってことだね」

と、景の伝えたかったであろう作戦を確認した


「その通りです」

「確かにそれなら、生徒会役員の仕事の一環として先代の住所と電話番号を入手できて、断られたらそのまま電話で、来て貰えたら会って直接話を聞けるもんね」


正直そこまで考えてはいなかったが、あたかもザッツライトと言いたげに景は頷く


「そのためには、明日の電話じゃ遅い___本当は今日でも遅いんだけど.....だから早く結斗に頼まなくちゃって」


今どうしても結斗と話がしたかった理由説明され、彼は小さく頷いた


その反応を見て、景は肩に入れていた力をフッと抜かす


取り敢えず電話は今日中に彼がかけてくれることだろう


「じゃあ、お願いします。よろしくね結斗」


頼みながら話が終わったことを匂わせ、教室の出口へ向かって移動しはじめた景


「任せて」


結斗は頼もしい返事を返しながら、彼女に歩みを合わせる


しかし少し考えるそぶりをした後


「仰せのままに、姫」

と微笑んで言い直したので


これは結斗のルックスと甘い声あってのセリフなんだよなぁ.....などと考えながら、景は階段を降りた
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