生徒だけど寮母やります!2

気持ちの方向2










「ううぁぁっ!」



ワープで落ちた先は妖術結社のロビーだった


居合わせた数人の視線を集めた私は、どうしたものかと冷や汗をかく


よく知った大きめのソファに背中を打ち付けしばらく動けずにいると、真っ先に駆け寄ってきてくれたのはアカギだった


「なんっっだお前!?いきなり落ちてきてどうした!?」


続いてエマも駆け寄ってきて、しかめ面の私を覗き込む


「え.....ハナさん?任務は?」


私は肘をつき身体を起こしてから二人を見る


そして、なんと言えばいいか分からず一瞬口をつぐんだ後


「.....ちょっと.....緊急事態で」

と呟いた



「はぁ?緊急事態?」


一体どんな?と顔で聞くアカギの後ろから、二人のスーツを着た男性が小走りにやってくる


気づいたアカギがサッと避けスペースを作ると、二人はソファ上の私の前に膝をついた



「見つかった、との事ですが一体何があったのですか?」


彼こそ通信機に応答した張本人

そしてもう一人


「うまくやり過ごすことができたんですか?」


彼が伊吹グループのビル周囲にワープを張った妖術師だ


この話だけで、アカギとエマは何が起こったのかを粗方理解する


「どうなんだ?」


私はアカギをちらりと見てから

「伊吹家の息子が帰ってきちゃって、咄嗟に逃げるしかないと思ったの」

と溜息をついた


「えっとつまり.....良いことか悪いことか.....どういうことだ?」


結果それが何を意味するのか、うまく状況を整理できず

掠れた声でそう尋ねながら、ゴクリと唾を飲み込むアカギ


私は「ごめんなさい」と小さく呟くと

「多分、全部バレてしまった」


と床の一点を見つめながら答えた


息を飲んだエマが口を震わせてから「それじゃあ計画は.....」と愕然とした表情を見せる



不甲斐ない.....!

なんて不甲斐ない.....!


そう思いながら私は通信機の付いた首輪を握りしめる


そして


「でも第2の情報漏洩を狙ったデータは持ち出して小高幹部に託してある。全部バレておしまいかもしれないけど、こっちにも伊吹グループを終わらせる材料がある.....!」


そう訴えた
< 398 / 547 >

この作品をシェア

pagetop