生徒だけど寮母やります!2
咲夜は目に涙を浮かべ、華奢な爽馬を壊してしまいそうな勢いで抱きしめる
「あーもー!お帰りバカ息子」
「うん.....ただいま.....」
ポンポンと爽馬の肩を軽く叩き抱擁を終わらせると、続いて咲夜が思い切り抱きしめたのは景だった
「景ーーー」
「わっ.....!咲夜.....よかったね、また爽馬に会えたね」
「本当だよーー。景とは一緒に祭り回れないから全然楽しくないし。チョコバナナとかき氷食べて、さー射的!って時に理由も言われず廃校舎に呼ばれるし」
「うん、景ちゃんいなくても楽しんでたよね咲夜」
結斗がニコニコと頷くと、咲夜は景の肩に埋めていた顔をがばっと上げる
そして目を細め、目の前で自分とは真逆の表情をしている結斗を見た
「お前もなー.....
いっちーにメールで廃校舎に呼び出されてすぐ『じゃあお先に!咲夜は、布が浮いてるのが発見されてこの神社に起こりうる影響をよくよく考えた上で来るようにね(グッドスマイル)』って俺を置いてったの忘れてないから」
ライからも結斗からも酷い扱いを受けたらしい咲夜に同情した爽馬が彼の頭をポンポンと撫でる
その時に爽馬は咲夜に抱きつかれて動けずにいた景と目が合って、2人は柔らかく微笑み合った
「爽馬に会えたからって景ちゃんに抱きつく必要ないよね咲夜。さ、離れて離れて」
自分への指摘を棚に上げ、結斗はにこりと優しい笑みを浮かべながら咲夜を景から引き剥がす
そしてくるりと一周辺りを見渡してから、咲夜の肩を両手で掴んだ
「とにかく、何でここにいるのかはよく分からないけどグッドタイミング」
その言葉に隣で市河が「戦力が増えたな」と頷く
ライがルークと千冬に加勢し、即戦力が1番捕まるわけにはいかない爽馬しかいなかった状況で咲夜が加わったのは大きい
「布だけど」という市河の呟きは聞こえないふりをして、咲夜はやれやれと肩をすくめた
「まったく、ライがメールで誰にもバレず廃校舎に来いーって無理難題を言ってきて、ムカつきはしたけどまぁ俺ならでき」
「悠長なことを言ってる暇は無いんだ。今の状況は言うなれば袋の鼠。爽馬と景ちゃんを何とかしてでもここから、妖術結社から逃がさなきゃいけない」