生徒だけど寮母やります!2

「無茶しないって言ったじゃん」


さくらんぼ色の唇から、弱々しくも景を責めるような言葉が溢れ出す


涙でほんのり赤くなった満宵の瞳をまっすぐ見つめたまま、景は自分のそれを僅かに見開いた


彼がどれほど心配してくれていたのかを、今更になって理解し

この瞬間、痛烈に反省した


くしゃりと顔を歪めた満宵は、咲夜の元まで二歩ほど詰め寄ってその胸倉を掴む


普段の彼にはありえない行動に、周囲も咲夜本人も目を大きく見開いた



「なんでとめなかった.....!?

咲夜先輩も、結斗先輩も、いっちー先輩も、ライ先輩も、小高爽馬も、なんで女の子にそんな無茶をさせた!?


僕らが守らなきゃいけないはずの景ちゃんが無理して提案したことを、甘んじて飲み込んでんじゃねぇ!!


失敗すれば死んじゃったかもしれないんだ!へらへらするな、これは断じて笑い事なんかじゃない!!!!」



敵に見つかってはならないこの状況を考慮したのか

大声で叫んではいないものの、満宵ははぁはぁと息を荒げて咲夜と結斗に、ここにはいないライ、市河、爽馬に想いの全てをぶつけた


「ミヨちゃん.....」


いつもは可愛らしい彼の、悲痛な訴えが先輩3人の心に重くのしかかった



それほど心配をかけたのだ


絶対に何とかしてみせる

やれることは何でもやる



その意気込みだけは立派だったけど、後ろで色々な人たちが心配してくれていることをすっかり忘れてしまった


「無茶しないって言ったのに.....私たち、また.....」


後ろからか細い声で景が呟くと、咲夜から離れ呼吸を整えた満宵は元気がない様子で再び口を開く


「強く言ってごめんね.....分かってるんだ。僕は小高爽馬を知らないから、当事者じゃないから先輩たちほど必死じゃない。

でも先輩たちにとっては本当に大切な人で、絶対にこの機会は逃せないんだって。

でも、本当に本当に心配してたから.....」
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