生徒だけど寮母やります!2

「てかいっちー先輩無事だよねっ!?結斗先輩も何で1人残してこっちきちゃったの!?」


「ミヨちゃんのいう通りな。結斗別にいらなかった」


咲夜の同意に対して結斗は“もや”をくゆらせながら

「なんかさっきから俺散々言われてる気がするなぁ!?ね、景ちゃん!?」

「わん」

とわめくも、しばらく無言になった後


「いっちーなら大丈夫だよ」

優しくも力強い声で言い切った


「わんっ」


特にその言葉が嘘だとも思わないが、何に自信を持って言ってるのかよくわからない

「なんでそう言い切れんのさ。あいつは残念だけど」

透視能力しか持ってないんだぞ____


と言いかけたところで、咲夜はアッと声を出した

「まさか薙刀一本で、透視で行動読みながらずっと逃げてんのか!?」

その頭上には見えない電球がチカチカと光っている


結斗が何故か誇らしげに「そう」と微笑むと、一同からは「お〜」といった歓声が上がった


「薙刀っていうかもはや木の棒だったけど、まぁその通り。彼剣道部部長だったしね。悔しいくらいカッコよく敵をあしらってたよ。あれは棒を持ったら性格が変わるタイプだね」

「へ〜、先輩剣道部部長だったんや」


景はリュックの中で揺られながら、あまり能力が実戦向きではないと嘆いていた市河を思い出す


去年の夏祭り悪狐事件でも、透視で景の居場所を特定した後は1人置いてけぼりで、後は帰省中のライを呼んだだけだった


でも


.....戦ってくれた


能力なんかじゃなくて、部活で鍛えた剣道で、その手で戦ってくれている


どうか無事で


景は心でそう祈りながら、リュックの中で身体を丸めた
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