生徒だけど寮母やります!2
______微笑んだだと!?
ほぼ全員が顔に出さぬよう努めながら心の中で叫ぶ
隆馬は全員の視線を集めながら、つい先程までその身体を乗っ取っていた、横に座る結斗と目を合わせた
「君は本当にこれでいいの。納得してないのなら、考え直す」
彼らの画策により伊吹グループの経営が崩壊し
大切な仲間を奪われ狙われ、身体も乗っ取られた
それでもこの男には、自分を受け入れる心があるのだろうか?
疑問を孕んだ隆馬の問いかけに、結斗は少し意外そうな表情を見せる
「急にそんな事を気にかけるような言葉を貰えるとは思いませんでした」
そう言ってから、ははと笑う
その様子は僅かに切なそうではあれど、微塵の憎悪も感じさせなかった
「あなただって被害者だと思ってるんです。被害者どうしで繋がることができれば、あなたの父に、その上にいる黒幕に辿り着くことができるはずです。
自分の心の痛みに惑わされて、あなたの事を許せず責めていがみ合ったとしても何も生まれない。むしろあっちの思う壺だと思いませんか?」
隆馬は表情を変えずに聞いていたが、爽馬が頷いたのを見てふっと笑う
「なるほど」
それだけで、多くは語らなかった
自分が頷きやすような言葉を結斗が選んだことにも気づいただろう
けれどそれも含めて、彼は納得したような表情を見せた
「.....よろしくな?」
おずおずとハルが確認するように肩に手を置く
「ああ」
隆馬は一言、素っ気なく頷いた