生徒だけど寮母やります!2
美音は見知らぬ高校生の言葉に瞳を大きく見開く



風が強く舞って、髪が彼女の口を撫でる



「景.....」


震える唇から、小さく妹の名前が溢れた



ライが続ける

「見ていて.....可愛そうだった。もちろん景は自分がこれだけ臆病になって苦しんでいることをあんたのせいだなんて微塵も思ってない。
それどころか、あんたが虐められていた事に気づけなかったことを悔やんでいた。どうか健康に生きていて欲しいと、一目でも会いたいと泣いていた。

確かにあんたも欠陥人狼だと虐められて辛く苦しかったかもしれない。でも、だからこそ景の気持ちを分かってあげられるのは、一緒に悩んであげられるのはあんたしかいなかったんだ!今だって!
それでも一人で逃げ続けるのなら、一分一秒でもそのことを、景のことを忘れるな。絶対、絶対にだ!」




_____ある日突然、姉が失踪した


_____姉は虐めを受けていた


_____姉が虐められた原因となった足枷は、自分にも付いていた


_____そうとも知らず、自分は今までこの枷に夢を馳せていた


_____無邪気に、姉に語った夢だ




『学校に通いながら寮母したら、学校のみーーんなと放課後もずっと一緒にいれるんだよ?

違うクラスの人でも、先輩でも後輩でも仲良くなれるかもしれないよ?』



______“学校のみんな”は、姉のことを出来損ないと言った


_____出来損ないは、みんなと仲良くなれないんだ




ライは今まで隣で見てきた、感じてきた景の思いを美音にぶつけた

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