生徒だけど寮母やります!2


「苦しい思いさせてごめんね.....月沼。わがままだけど、それでも月沼には、俺たちが月沼トレーディングの敵になってしまうことを許して欲しいんだ。酷な願いだけど、俺たちがすることをそばで見守っていて欲しい。

それで、伊吹グループも月沼トレーディングもお互いに壊れてしまったとしても、俺はきっと将来、新しいやり方でこの業界を継ぎたい。それでそのとき横には、絶対に君がいて欲しい」



月沼は切なそうに、しかし優しい表情で決意を語る結斗を潤んだ瞳で見つめた


しばらくして、涙とともに「ははっ」と堪え切れなくなった笑いが漏れる


「こんな状況で、言うこと勇ましすぎない?なんで.....こんなに苦しいのに、同時にこんなに嬉しいのか、自分の気持ちがもうよくわからなくなってきた」


こんな状況にもかかわらず、将来への夢を馳せた結斗の強さ


ゼロからやり直す将来(とき)


そこには月沼がいて欲しいと

絶対にいて欲しいと微笑みかけた言葉が



「嬉しすぎて.....なんか楽しみになってきたよ.....はははっ」



月沼を救った


景は涙を堪えながら、結斗と目を合わせて微笑み合う



「俺からも、ごめん.....ありがとう、月沼」


なんと言っていいのか躊躇ったように、ライが複雑な表情で謝罪と礼を言った


月沼は向き合って首を振る


「ううん、すっきりした。もうみんなと友達に戻れなくなるんじゃないかって怖かったから、幸せすぎてこっちが感謝の気持ちでいっぱいなんだ。
そのボイスレコーダー、有効に使ってよ。上手くいくことを願ってる」



その笑みの裏に、どれほど複雑な感情が絡み合っているのか

誰もが想像しては胸を痛める


その優しさに、この先きっと彼に幸があることを願わずにいられない自分はなんて性格が悪いのだろう


今から彼を苦しめようとしてるのは自分たちなのに_____



景はそんなことを考えながら、晴れやかに笑う月沼を見つめた



彼に最大の敬意を込めて、全力で戦うことを胸に誓おう_____

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