生徒だけど寮母やります!2

「じゃあ.....それでそのボイスレコーダーがここに有るってことは、お前はもう親に電話して話の内容をコレに録音してきたってことか?」


説明を受けて尋ねるライに、月沼は「そうだよ」と即座に答える


ということは、彼はもう既に親の口から真実を聞いたのだ



「やっぱり.....電話して聞いたら九雷さんの話の通りだった。
なんか、もう.....言葉出ないよ.....。

親.....親がさ『それ伊吹結斗から訊かれたの!?』って凄い勢いで電話越しに問い詰めてきたんだ。僕の親、君が何も知らない僕に余計なことを言わないように口止めまでしてたんだってね。

その後、親が僕に今まで通り何も知らないフリをしてほしいって頼んできたんだ。
酷すぎた.....息子として、こんなに恥ずかしく思ったことはないよ」


月沼はところどころ言葉を詰まらせ、空を見上げ涙をこらえながら声を震わせる


あまりの情けなさに脱力して笑っているようにも見えた



景は切なそうに顔を歪める結斗を見上げる



伊吹グループに、爽馬を含む“犯罪組織"による侵入事件が起こった直後の、月沼の言葉を思い出した


________実は僕の家も貿易の会社やっててさ、伊吹んちの会社よりは全然小さいけど。一年の頃はそれで意気投合したんだ。

だからまぁ.....気持ちが分かるっていうか、なんていうか。それできっと、辛いだろうなと思って声かけただけだから______



あのときの月沼のように


いま、彼の気持ちをわかって声をかけることができるのは

一番傷ついた結斗だけだ

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