真夜中の恋人
「何?物足りない?」

「そうじゃないけど……」

どうしたの?なんて、言えなかった。
お互いの事情に口を挟まない。これは二人の暗黙のルール。

タカヤは意地悪な笑みを浮かべて、わたしから身体を離した。

「欲しいなら自分から足を開いて」

その言葉でわたしの身体が羞恥で熱を持つ。

けれど、わたしを見下ろすタカヤの瞳は冷たいまま。

「早く」

タカヤの命令口調に身体が震える。

「いや」

小さな声で抵抗すると、タカヤの指がすっと下腹部に伸びてきた。


「ナツ、もうこんなに……」

「やっ」

タカヤに触れられると同時に、わたしの口から甘い吐息が漏れた。


唇が重なって舌を絡めあった。
アルコールの匂いでさえ媚薬のように感じてしまう。

舌が少し痺れたように、わたしの身体もタカヤに酔わされていく。

今日は朝まで一緒に居てくれるの?

そんな事をぼんやりする意識の中で考えていた。

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