真夜中の恋人
「足は大丈夫?」
「うん。平気」
そう答えて、来た時と同じように、タカヤの腕をそっと掴む。
わたしに歩幅を合わせて歩くタカヤの優しさに、胸の奥から言いようの無い感情が込み上げてくる。
本当は、どんな関係でも一緒にいたかった。
気持ちは、わたしに無くてもいいから。
遊びでも、誰を想っていてもいい。
だけど、もうそれすらも叶わない。
「何か食べて帰ろうか?」
タクシーの中で、タカヤが言う。
「料理に手をつけなかっただろ?」
「……あの雰囲気に馴染めなくて」
目を伏せて答えると、わたしの手を握るタカヤの指の力が少しだけ強くなった。