真夜中の恋人
マンションに戻ると、声を上げる間もなくタカヤに唇を塞がれた。

いつに無く荒々しいキスに戸惑いながら、わたしはそれに応えるように唇を開いた。
タカヤの舌がわたしのそれに絡まると、それだけで身体の奥が熱をもっていく。

そのまま終わりそうもないキスを受け止めながら、わたしはこれからの事をぼんやりする頭で考えていた。

タカヤの指がなぞるように肩から胸へと下がっていく。
それを制するように、タカヤの手に自分の手を重ねた。

「待って。シャワーを浴びるから」
わたしはそのままバスルームに向かうと、鏡の前で髪を解いた。

ヘアピンを一本一本丁寧に髪から抜き取っていると、タカヤが後ろから抱きしめてきた。

「ナツ」

わたしを呼ぶと待てないと言うように、ワンピースのファスナーを下ろして背中にキスをする。


「タカヤ、止めて。くすぐったい」
身を捩って抵抗してもムダだった。
ヘアピンを全部取る頃には、わたしはすっかり下着姿になっていた。

後ろから抱きしめたまま、タカヤはわたしの肩に軽く歯形をつける。
痛みに身体を震わすと、タカヤは満足そうに笑った。

「抱きたい」

耳元で囁くタカヤの声がゾクリと響く。
顔を上げれば、鏡の中のタカヤと目が合った。タカヤは、あたしの瞳を見詰めたままで、首筋にキスをする。

「ナツ、凄く綺麗だ」

「……お願い。ベッドで待ってて」

いつもなら抵抗も出来ずに流されてしまうけれど。
どうしても、鏡の中の作られた『ナツ』を洗い流してしまいたかった。





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