ラブレターを君に
遠くから、誰かが駆けてくる……



「理音っ!!」


後ろから、理音を抱き締めた。



「必ず帰るからって…待っててって、言っただろ?何で帰ろうとした?」

「とにかく、此処じゃ、寒すぎる。マンションに入ろう」



理音は、またあの時と同じに入ろうとはしない。



玄関で、カズはもう一度理音の肩を抱いた。



(kazu)
「今日会えなかったら、明日俺から会いに行くとこだった!」



(理音)
「カズさんっ、ごめんなさい!……私の父が、カズさんに大変なことしてしまって……私カズさんに何て言っていいか…酷いことを……」



(kazu)
「俺のことより、理音も何か言われたのか?」



(理音)
「カズさん!約束してください!諦めないって、カズさんの音楽を…すべてを諦めはしないって!私のことなんて、気にしないで。私は、私は……」



(kazu)
「私は、どうするって?」



(理音)
「私は、カズさんとは、もうっ、会わないし、会うことも無くなりますから……」



理音の顔を自分の方へ向かわせながら



(kazu)
「それは、どういうことなのか?君は、もしかしてお父さん達の言いなりになるってことか?……俺に音楽を続けさせる為に…そういう条件で、言いなりに?…」



理音をなお強く抱き締めていた。



(理音)
「そうでもないわ!だから、私のことは、全然気にしないで!私は、私をもう一度見つめ直したいだけ!日本から、居なくなるだけだから……」
< 56 / 119 >

この作品をシェア

pagetop