ラブレターを君に
今日の会場も、一杯のファンでうめ尽くされていた。


幕が上がった…ステージの真ん中にはピアノとその前にはカズが居た。


寸前までの、ファンの奇声が、一堂に静まり返った。♪♪♪♪

♪♪♪♪


♪♪♪♪


「星の願い」を弾き始めた。会場の中のファン全員が、その旋律に聞き入る………


会場の光が消され、カズの姿のみが、ライトに照らされる。



あまりの旋律の素晴らしさに、すすり泣くファンもいた。



カズは、初めて理音と会った、あの日を思い出していた。



この曲が、どうか理音に届いて欲しい!



ピアノを弾き終わりカズは、空を見上げるように、顔を天井に向けた。


星が散らばるかのような演出に、ファン達は、驚きの声をあげた。



その日のコンサートは、何時にもまして盛り上がった。



カズが創る曲は、ファンへのメッセージそのものであった。



そして……理音への想いを唯一表現出来る場所がファンの前で歌うことだった。
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