今治





だからということもないが、京子と一緒に遊んだことなど、慎平の記憶には、ない。




「あ、でも、ボーリング行ったよね? クラス会で」




あった。あれは、確か、卒業前のクラス会だ。フジグランという、イオンのようなショッピングモールにある、ボーリング場でクラス会をした。そこには、慎平もいたし、京子も、里中も、里中の彼女もいた。




「懐かしいな。プリクラも撮ったよな?」




「そうそう。全員で狭いプリ機の中、ギューギューになって暑かったん覚えとる」




その話をきっかけに、フジグランに行ってみたくなったが、この時間から行ったところで、何をしていいのかわからない。




「じゃあ、そろそろ行く?」と京子が言ったことにより、二人は、水色のタントに戻り、シートベルトを締めた。




「次、どこ行く?」




「西中でも行く?」




西中とは、二人の母校であり、この時間から行っても締まっているし、慎平は、冗談のつもりで言ったのだが、京子は、「いいね! 行こ!」とハンドルを切った。




< 18 / 56 >

この作品をシェア

pagetop