引きこもりの俺が何かを言った。



あの日以来、爽ちゃんに拒絶されるのが怖くて、家には一度も行ってない。

どうせまた、汚く閉めきった暗い部屋でパソコンに没頭してるにちがいない。

私じゃダメなのかな?
私じゃ、爽ちゃんを受け止められない?

ベッドから起き上がり、私は机の上の写真たてをみた。

仲良さげに4人の幼い子供たちがピースサインをして写ってる。

真ん中でとびきりの笑顔をみせてるのは、幼い頃の爽ちゃん。

その右隣で仏頂面をしてるのは、幼い頃の陸人。

爽ちゃんの左隣で優しい笑みを浮かべてるのは、幼い頃の……。

甦る記憶を振り払うように、写真たてから顔をそむける。

爽ちゃんを助けられるのは、あの子しかいない。

そんなの分かってたけど、認めたくなかった。


幼いながらに抱いてた爽ちゃんへの恋心。

だけど爽ちゃんの視線は私じゃなかった。

いつも私じゃなくて、他の誰かを見ていたこと。

知らないはずがないよ。
私はいつだって爽ちゃんを見てたんだから。ずっとそばで……。


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