エリート医師に結婚しろと迫られてます
なんときょうは、何事もなく一日が終わりそうだ。
帰り仕度をしていると、美月が軽く腰に手を当て、指でひよいっとやる。
美月様の顔かしなのホーズ。
断わっておくが、仕事上のボスは私だ。
が、就業時間が終わり、帰り支度を済ませると、いつの間にか美月と私は、立場が逆転して、彼女は、私の人生の師匠になる。もちろん、こんなルールを作ったのは私じゃない。
まあ、要するに美月にとって私は、
中高、大学、社会人となっても、勉強以外何もしてこなかった、可哀想でケアが必要な女なのだ。だから、しょうがない面倒見てやるというスタンスなのだ。
リンゴの皮も剥けない、バカ者レベルから、どうにか絵文字程度の恋愛感情なら理解できる、街の中学生くらいの女子力まで上がって来た。
美月は、まだ、私が動揺してることに
気がついてない。
本当なら、週末にあった事すべて師匠に報告するのが本当だけど…
話す本人も、いったい何が起きたのか分かってないのだ。
「一緒に帰るわよ」美月が後に続いてというみたいに後ろを振り返る。
「はい。どっちにするの?」
「私の部屋、麻結ん家何もないからダメ」
「分かりました」