エリート医師に結婚しろと迫られてます
「あのさ、何か誤解してるけど、兄のこと、
イケメンとか、男前とか思ってない?」
「思ってますよ。あったり前じゃないですか。
だって…ただ、医学部に行って、
お医者になるってだけで、すごいのに。
先生のお兄様の実物を見られるなんて…」
「あのね、期待してるとこ、
申しわなけないけど、うちの兄容姿は普通だよ」
美月は、私の意見なんか聞き流して、
早く、タクシー来た!乗りましょうよと、私の腕を引っ張った。
美月が走りながら答える。
「なに言ってんですか、生まれや
経歴だけで、ゴージャスなんですから。
顔なんて付いてるだけでいいんです」
「それは、ずいぶん低いハードルだね」
タクシーの窓の外を見てた美月が、
顔をこっちに向けていう。
「だって、普通なら、絶対会えない人種
じゃないですか?基樹さんって」
「まあ、あそこまで、
野放しになってるって意味では、そうかも。
熱帯のアマゾンの珍獣みたいな。
でも、妹としては、一緒に暮らして楽しいとは思えないな」
テレビで、たまに見るくらいがちょうどいい。