エリート医師に結婚しろと迫られてます


少し、沈黙があって
「ねえ、麻結あの時もこうして2人で歩いたの覚えてる?」


「はい」
あまり思い出したくない。


「あの時も、こうやって海に行こうって2人で約束して、海岸まで歩いた。覚えてる?」


「ええ」と私は頷いて返事をする。



階段を下りて、後一段を残したところで、伸びて来た腕に抱きしめられた、


あの時は、なんだかわからなかった。

ほとんどしゃべったことのない、男の子から海へ散歩に行こうと誘われ、ここまで来て足を踏み外した。

男の子は、森谷さんと同じように私の体を抱きとめてくれた。



ありがとうと言おうと思ったら、いきなりキスされた。


私は、それがキスだってこともよくわかってなかった。

歯の強制装置が私の歯にぶつかって痛かった。



男の子は、私をコンクリートの壁のほうに追いやると、体を押し付けてきた。

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