エリート医師に結婚しろと迫られてます


「父さんに、なんて言われたの?」


「君のことちゃんと考えてるなら、きちんと気持ちを言いなさいって言われたな。中学生のガキが、娘の写真を撮りまくってたんだから、気持ち悪いと思われて当然だよな」


「告白は、ちゃんと聞いたし、あなたが写真撮りまくってた写真も見たことあるけど。その時、あなた私のことなんか眼中になくて、真理絵の方ばかり見てたじゃないの」



森谷さんは笑っていった。

「無理だよ。これから告白しようと思ってる相手に、愛想よく話しかけられるほど、度胸は座ってない。君が見てないところで、盗み見るように見るのがやっとだった」


「中学生の森谷少年は、恥ずかしがりやだったのね」


「少年の頃だけじゃないよ。今も同じだ…」


「どうだか…今は、女性に声をかけるくらい、全然平気そうだけど」


「通りで道を尋ねるくらいならね」


彼は、私から離れて海の方へ向かった。



時々、犬を連れた人が通り過ぎていく。
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