エリート医師に結婚しろと迫られてます
「まあ、仲のよいご兄妹ですね」
女将が、美月のことを妹だと勘違いした。
「基樹さん、私達兄弟に見えるみたいですよ」
美月がはしゃぎながらいう。
「そうか?」と私に聞く兄。
「見えると思いますよ」
って言うより、私が兄に似てないのだ。
他人の美月の方が、
妹に見えると言っていいほどに。
「ねえ、基樹さん、
このまま私が妹ってことにしませんか?」
さすがにそれは、相手に失礼だ。
止めなきゃ。
「そんなこと、相手を騙すみたいで…」
と、私が言い終わる前に、兄が遮った。
「いいな。面白いじゃないか」
「はあ?ちょっと、お兄ちゃん、
今日約束してる人、
お兄ちゃんの後輩なんでしょ?
そんな騙すようなこと…」
「大丈夫だ。遅れて来るやつが悪い」