エリート医師に結婚しろと迫られてます



「まあ、仲のよいご兄妹ですね」
女将が、美月のことを妹だと勘違いした。


「基樹さん、私達兄弟に見えるみたいですよ」
美月がはしゃぎながらいう。


「そうか?」と私に聞く兄。

「見えると思いますよ」
って言うより、私が兄に似てないのだ。


他人の美月の方が、
妹に見えると言っていいほどに。

「ねえ、基樹さん、
このまま私が妹ってことにしませんか?」


さすがにそれは、相手に失礼だ。
止めなきゃ。

「そんなこと、相手を騙すみたいで…」

と、私が言い終わる前に、兄が遮った。




「いいな。面白いじゃないか」


「はあ?ちょっと、お兄ちゃん、
今日約束してる人、
お兄ちゃんの後輩なんでしょ?
そんな騙すようなこと…」



「大丈夫だ。遅れて来るやつが悪い」

< 32 / 336 >

この作品をシェア

pagetop