エリート医師に結婚しろと迫られてます
美月は、兄の説明にいちいち頷いている。
趣があると物珍しい建物に、
満足げに頷いているが、
兄も私も、
文化財のような古い実家で育ったから、
すきま風のために、
ストーブが手放せない不便さと、
歩くたびに、静かにと言われ続けたたから、正直こういう家には、
住みたいとは、思わない。
私達は、足音を消す技術に付いては、
忍者並みだと自慢できる。
店の中に入ると、中から女将らしき人が出てきて、兄に挨拶した。
美月は、すっかり妹気取りて兄に甘えている。
「基樹さん、こういうところよく御存知なんですか?接待とかで」
通されたのは、お座敷で一応ふすまで仕切られている。
「それほど遊び歩いてる訳じゃないよ」