エリート医師に結婚しろと迫られてます
野崎さんは、名刺を手元に置いて、
私を見つめた。
見たところ、マトモな上流家庭の、
上品な奥様だ。
住所も、都内の一等地
( 半径1km以内高級なモノ以外、
建てちゃダメなんて、条例でもあるの?ってほどの高級住宅地 ) だし、
御主人の職業も、どこかで
耳にしたことのある、
割りと大きな会社の要職に付いてるし。
二人の息子さんも、
これまた、超が付くほどの
有名大学を卒業し、当たり前のように、
超が付くほどの有名企業で働いている。
いったい、それで?
何ゆえに?
御主人に頼めば、すぐに、
こんな名刺を渡す弁護士何かじゃなく、
プロフェッショナルの名刺を持った、
一流事務所の弁護士が、すぐに飛んできて
相談に乗ってくれると言うのに?
そんな、ウルトラハイソな奥様が、
登録弁護士が数人しかいない、
町の弁護士事務所などへ?
と、思ったのは、最初の5分だけで、
すぐに理由がはっきりした。