エリート医師に結婚しろと迫られてます
そのハイソなご婦人は、
うちの母が欲しがるような、
有名ブランドのお洋服に身を包み、
金払いだってすこぶるいい。
間違っても、財布からお金を出すとき、
お金がいくら残ってるかしら?
なんて、財布を盗み見たりしない。
うちの弁護士事務所にとっても、
上客になるはずだった。
きっとなってくれると誰もが期待した。
普段、弁護士を前にすると、
いかに人から金をふんだくれるのか、
そればっかり考えてる、
ネズミ目の小男ばかり相手にしてるから、
こういう女性を見てると、
なんて清々しのかしらなんて思う。
でも、そんなのすぐに前言撤回。
ご婦人は、少し緊張気味に答える。
「わたくし、手紙を書いてますの」
手紙… 損害賠償?不法行為かな…
私は、手元のリーガルパッドにメモする。
「手紙といいますと…
どういった内容のですか?」
ご婦人は、目を輝かせた。