エリート医師に結婚しろと迫られてます



もっとも、心優しい、
クライアントの立場に立った弁護士なら、
話を適当に聞いて、お金をもらえばいい
なんて、ひどいことは考えない。

子供の頃見ていた、弁護士のドラマにそういうセコイ弁護士はいなかった。


心から申し訳ないわと言う目で、
相手を見つめて

あなたの役に立つような法律は、残念ながら、現在の日本には存在しないんです。

(おそらく、世界中のどこを探しても…)
と正直に言うべきだ。

一番有効な手段は、事務所を出た、その足で精神科か心療内科のクリニックに駆け込み、薬を処方してもらうべきだけど。

その方が、健康保険もきくし。



でも、心優しく、良心的なんて言葉は、
うちのボスのような立場の人間によって、すぐに後回しにされる。

この後、ボスのところへ行って、
もっともらしい顔で、
クライアントのためには…
相手の立場に立った弁護をなんて、いくら訴えたところで、


じゃあ、俺はどうやって、
あんたの給料払うんだ?

って切り替えされたら、それで終わりだ。
一言も反論出来ない。

私だって、社会派弁護士を気取って百円玉を握りしめて来た小学生の為に、二時間で事件を解決してみたい。

でも…それ以上に、毎日生活していくためにはお金がいる。二時間で事件を解決したって、百円じゃあ、微妙だ。


ああ…子供の頃、使命感に燃えていた私は、どこに行ってしまったの?

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