エリート医師に結婚しろと迫られてます
「麻結?君は、
僕にそんなふうに思って欲しいの?」
森谷さんの視線が警戒するように、
さらに鋭くなる。
「いいえ。というか…あの…
よくわからなくなって…」
もう、私、変なこと言ったかな。
怒らせたみたい。
「分からない?そうじゃないだろ?ちゃんとわかってやってるだろ?誤魔化すなよ。
もし、麻結子が…
自分に付きまとう男を追い払いたくて、
美人の友達に目を向けようとさせてるなら…」
「させてるなら?」
「もし…それが本当なら…さて、どうしようかな…」
「あの…私、そんなつもりは、
全然ないもの。変な心配しないで…」
「わかってる。麻結に、そういう策略みたいなことは無理でしょう。無意識でやってるんですよ。だから、余計腹が立つ。
どうして、そうやって試すんだ?
こんな小手先で、確かめたって、何が分かるの?
直接言ってくれた方がどんなにいいか」
彼は、握ってる手に力を入れる。
「えっと…私、謝らなきゃいけない?」
「はい。これでも一応、
生身の人間ですからね…でも、
後でそれ相応の対価はいただきますよ。
しっかり覚えて置きなさい。
もう、僕は、こんな子供だましの手に引っかかりませんから」