エリート医師に結婚しろと迫られてます
石田酒店、古い昔ながらの店構えに、年季のはいった看板、私は、外から店の中をのぞいた。


「涼平さんいないのかな」

腰を痛めたおじさんに代わって、
涼平さんが土日だけ、配達を手伝っている。と真理絵に聞いていた。

店の横に行くと、軽トラックが見える。


いた。


ガチャン、ガチャンとケースが
ぶつかる音がする。


涼平さんは、
店の横にトラックを横付けして、
空になったケースを下ろしている。

彼は、濃いブルーのトレーナーを、
肘まで腕まくりして、袖の下から日に焼けたたくましい腕がのぞいてる。


よれよれのジーンズ姿だけど、
時どき、額の汗をトレーナーの袖で
ぬぐう姿が男っぽくっていい。

すばらしい筋肉の動き。私は、森谷さんのことを忘れて涼平さんに見とれていた。



近づこうとすると、ぐわんと体が引き戻された。
私は、森谷さんに腕を引っ張られていた。


「痛っ」


「なんだ、麻結じゃないか?」
涼平さんが、私に気づいた。


声をかけられた時、私は、
森谷さんの両腕に引っ張られて、
彼に寄りかかっていた。
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