伝えたい。あなたに。

代償

今日はとても楽しかった。



毎日こんな日が続けばいいと思った。



『お疲れ様。どうだった?』



『楽しかったよ。またやりたい。』



『話は変わるけど、採血した後エコーやりたいから、一緒に来てくれる?』


もう少し余韻に浸っていたかったのに。


そこが山瀬先生らしいところでもあるのだろうけど。


処置室に入ると、どこかで見たことのある先生がいた。



『北見先生だよ。循環器内科の先生。


発作の時の胸の痛みが気になるから、詳しく調べて貰おう。』


なんだか強面の先生。



構えてしまう、



『採血は佐々木研修医にやってもらうから。』



研修医ときいて、一層体がこわばる。



練習台にされるんだ。



これ以上手強い奴はいないってことなのか。



『山瀬先生じゃだめなの?』



『研修医の先生にも経験積んでもらわないといけないの。』



『だからって私じゃなくても。』



『ごちゃごちゃ言わない。早く座って。』



もう逃げられない。



渋々椅子に座る。

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