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借り物競争の悲劇

「じゃあ翔……練習通りにやるのよ」

朝、体育祭に行く前に紫音から背中を叩かれるという熱烈な激励を受けた。

「あ、ああ……」

余命半年……。昨日の言葉が耳から離れない。後、半年しかおじいちゃんは生きられないんだ……。

「何か元気ないね?」

紫音が俺の顔を覗き込んで尋ねる。

「ちょっ…近いって!」

「何考えてるか分かんないけど、とりあえず今は自分のこと集中しよ?」

そう言ってニッと笑う紫音を見て俺は少し元気付けられた。

「サンキュ。紫音」

「いいって!私は翔の彼女だよ?」

そう言って俺に腕を絡めてくる紫音。俺は恥ずかしくなり、その腕を振りほどく。

「違うから…」

「冗談だよっ」

そう言って紫音は舌を出した。だけど、紫音のおかげで元気がでた。

よし、頑張るか!!
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